MILANO

美しいファブリック物語

ヨーロッパ・イタリアではレディ・トゥ・ウェアを
販売する店がまだ少なかった頃の話…誰もが、生地を選ぶことからはじまりその生地で理想の服をつくる
という時代を駆け抜けたガルトルッコ
ミラノのドゥオモ広場に面した大きなショーウィンドウ、
上質なファブリック、
ガルトルッコの生地でテーラーが仕立てたドレスは
女性たちのあこがれだった
ミラノの歴史にとって重要なガルトルッコとその当時のデザイン、建築、
芸術との結びつきを紹介する展示会がパラッツオ・モランド開催中

パラッツォ・モランドは、ミラノ旧市街に建てられた16世紀のお屋敷
現在はミラノ市が所有し、イベントや展覧会が開かれるようにガルトルッコの歴史は19世紀末、ロレンツォ・ガルトルッコが
ロッビオに開いた小さな店からスタートそして、ノヴァーラ、トリノ、ジェノヴァ、トリエステ、ローマ…
イタリア国内に数店舗をオープンさせるまでに
ミラノはドゥオモにたどり着く前に、サン・グレゴリオ通り29番の
ネオ・ゴシック様式の本社兼自宅で卸売りをはじめたグリエルモ・ウルリッヒやメルキオレ・ベガなど
当時有名だった建築家がデザインしたガルトルッコの店舗は、今見てもモダンでスタイリッシュ!!ファウスト・メロッティのセラミック製テーブル脚。
生地を採寸する巨大テーブルを支えるために作られた素晴らしい芸術作品💙


時代とともに移り変わるスタイル、
デザインやシルエットクリスチャン・ディオールが1947年に発表した
ニュールックのよう♩
デザイナー、ブルネッタの絵を起用するなど
ブランド広告にも力を入れていたガルトルッコ

1970年代、仏ブランド・クロエのプレタポルテコレクション。
デザインを手掛けたのはカール・ラガーフェルド生地はもちろんガルトルッコ
ちなみにクロエの現クリエイティブ・ディレクターはシェミナ・カマリ。
2025年春夏コレクションはガルトルッコのアーカイブスから生地を選んでいる

伊ブランド・クリツィアがミラノで初めて発表した
花柄プリント(1975年春夏コレクションのデザイン画)ガルトルッコがファッションデザイナーと築いた関係の中で、
とくに注目すべきはジョルジオ・アルマーニの存在だろう1974年に自身の名を冠したブランドを設立したデザイナーは
プレタポルテの最初の生地をガルトルッコから購入している
そして、1980年代以降のアルマーニはガルトルッコと共同で、
市販のウールギャバジンとは異なるジョルジオ独自のスタイルである

伸縮性、軽く暖かい着心地、シルエットに
ソフトな落ち感のある生地を生み出してきたファッションの流れが変わり、レディ・トゥ・ウェアが中心の今、
自分だけの服をつくるために生地を選ぶのは夢のような話かもしれない

それでも、この美しい物語を終わりにしてはいけない…