MILANO

日々、自分のために

ジャケットを着る
季節の変わり目。カーディガンでもブルゾンでもなく
ジャケットが着たい。その理由はいろいろあるけれど、
シチュエーションやまわりを意識したおしゃれから
自分のための装いへ、と気持ちが変化している今こそ
「ジャケットを着る楽しみ」を自らつくり出したいから自分のためにジャケットを着て、
背筋を伸ばして、凛とした気持ちで1日を送りたい私の父はスーツやジャケットが好きだった。
テイラーを自宅に招いてお酒を振るまい
よい気分になったところでデザインや素材を決め、
肩幅や袖丈などサイズを測ってもらう。
いつか私も生地から選んで
ジャケットをオーダーメイドするのが夢だアメリカの学生の間で生まれたアイビールックは
時代を超えて愛されているスタイル基本のトップス=重め、下半身=軽め、
足もと=素足にスリッポン靴。
そしてアイビールックは、なにより「背中で粋を表現する」ショルダーバッグを肩にかけて
チェーンをギュッと握りこぶしで持ち、
歩く速度はやや早め。
そう、1980年代ニューヨークの強い女たちのようにブレラ界隈を散歩中に見つけた
カシミヤ製のフリウラーニ(フラットシューズ)。
柔らかくてあったかい、このホワイトが最高!

中世ヨーロッパの雰囲気たっぷりのベルガモ金・土・日とつづけて休みが取れたので
めずらしく夫婦だけで小旅行へ出かけたミラノから車で40分くらいの場所にあるベルガモ。
casoncelli(カゾンチェッリ)=肉詰めパスタ、
ポルチーニ茸、チーズ、ポレンタ…
丘の上の旧市街で美味しいと評判の
レストランへ行くため、ここでしばし休憩5つ星ホテルの中庭のようなヴェッキア広場。
リラックスしたこの広場の一角には、
銀座のドーバー ストリート マーケットでもかつて
「ドミノ」をテーマにインスタレーションを展開した
伊ブランド「ダニエラ・グレジス」のブティックがある
シンプルなフォルム、普遍的なデザイン、
手仕事のあたたかみが感じられる彼女の作品。
店内でパッと目に入ったカラフルニットの
値段を聞いてみたら、なんと「5000ユーロ」
ゼロが1桁違うというだけの話ではない
もっと自分に自信を持ち、
ダニエラの服をさらっと着こなせるようになったときに
きっと買えるようにもなるんだ、と自分に言い聞かせながら
市内で最も古いゴシック様式の「チヴィカ塔」、市役所、
ドゥオモやサンタマリアマッジョーレ教会などが
集まる広場をぐるぐる歩いた(中世の日時計/ラジョーネ宮で撮影)マスク着用で
教会や建物内に入ることが徹底されている中世の面影を色濃く残すチッタ・アルタ(上の町)。
隅々にまで目を配ると、
かつてはカテゴリー別に指定されたエリアで
市場が開催されていたことがわかるmercato del pesce=魚市場mercato del fieno=干し草市場

さらに、カモニカ渓谷までドライブ昼食後はさらにイタリア北部アルプスの山麓まで
1時間半くらいドライブ旅の途中で
羊飼いのおじさんと出会う日暮れごろ、やっと目的地に到着。
「アペリティフでもしようか?」雰囲気のよさそうなバールを探しながら
村をうろうろ(^^)あまりにも自然に溶け込んでいて
発見が遅れた木の彫刻遠くの景色ばかり眺めていて足下にある
正方形ハウスを見落とすところだった。
「こんな家に住みたいな」
この村のエントランスでも見かけた道具。
家の外壁にもたくさん飾っているのはなぜだろう!?
中世にタイムスリップしたようなビエンノは、
「イタリアでもっとも美しい村」のひとつに認定されている狭くて迷路のような
石畳の路地が多いサビて趣のある
鍋の照明器具
通りがかりの神父さんがススメてくれた
教会の中へ入ると、道具を手に持つ
人物画が印象に残った

じつはこの村には、小さなアトリエを構える
職人やアーティストがたくさんいて、
昔から豊富な水を利用した歴史ある鍛冶場もあり、
代々受け継がれてきた鉄工の実演を見学できるモンドという愛称で呼ばれている
彼も鍛冶屋のひとり

彼は自分のためにナイフも作る。
はじめから終わりまですべての工程を
ひとりで手がける、独特の縞模様が美しい
ダマスカス・ナイフだ
夫のマルコが大のナイフ好きで、かご職人のルーチョさんに
「ナイフを作っている職人はいない?」と聞いたところ、
「俺があげたと言えばいい」と連絡先を教えてもらい
1日半かけてやっと彼に会うことができた(^^)Instagram:@ERCOLICLAUDIO

素敵なかごリュックを
肩からかけた男性
その先には、コツコツと仕事をする
かご職人のルーチョさんの姿が大のかご好きの私は
ここで手に入れない訳にはいかない。
「またーーー」とかブーブー言う夫を無視して
いちばん可愛い子を探して見つけたのは
ヤナギとオリーブ、2色使いのかご。
外出時にあわてないように、布袋やマスクを常備して最近お気に入りの
機関誌Typologieコルク、ワインボトル、ゲームの球…創刊からずっと
ひとつの興味の対象にまとを絞りマニアックに迫るそして、今回の主役はなんと
かごにはじまり、マルシェの木箱について
https://collectionstypologie.com

次の日も快晴。
「湖と山どっちがいい?」と夫に聞かれ
「山」と答えた
山に行く途中で寄った
隣町のブレノでは、1850年創業の
金物店Pezzucchiを訪ねた
店内はまるでミュージアム!
奥の部屋は古道具がきれいにディスプレイされていた
デッドストックの精巧に作られた
ミニチュアナイフを記念に買った

やや蒸し暑かったけれど
ラストの日も快晴ただただ
ボーーーっとしながら
山頂のテラスで
のんびり食事タイムアンティパスト。
これで2人前
私は
ポレンタ&チーズ夫は郷土料理のひとつ、ブラザード&ポレンタ。
牛肉を長時間かけて赤ワインでじっくり煮込んだ
舌でとろけるような肉とワインの酸味が特徴の皿子どもたちへの土産はホームメイドの
casoncelli(カゾンチェッリ)=肉詰めパスタ

お腹いっぱい、
幸せいっぱいで帰途についた