今年52回目を迎えた国際家具見本市サローネ・デル・モービレ（通称ミラノサローネ）。この世界中から注目されるデザインの祭典を、ファションブランドがただ横からじっーと眺めているわけではありません。実際に、大手家具メーカーや才能あるデザイナーとコラボレーションする、数々のイベント&プレゼンテーションは、いつも話題の的です。ファッションのようにデザインは、デザイナーのアイデンティティや時代のムードを表現する一つの手段として、今後ますますライフスタイルに欠かせない役割を担っています。
今年のミラノサローネは、ファッションの視点から見て、歩き、デザインについて考察しました….
アトリエで作品を発表したヤコポ・フォッジーニは、フィレンツェに新しくオープンしたFENDIブティックの照明デザインを手掛けました。
昔は何もなかった土地にモダン住宅が建つアトリエ周辺の風景。
ごく普通のアパートのエントランスホール。ドキドキしながらアトリエのドアを開けると….
芸術は爆発だ!!過去から現在までの作品が賑やか。
明るくポジィティブで、会話が生まれそうなデザインに注目!!
素材はガラスよりも高い強度を持つ軽量アクリルガラス。
壁を覆う巨大照明。
さらに大きい直径6mの作品は、トリエンナーレ美術館に。よく見ると、モチーフが何かすぐわかります!
自分の“好き”をカタチにして、ひたすら創作を続けてきたデザイナー….継続は力なり!!
2階のデザイナーの仕事場。たまにはピアノを弾きながらリラックスするのかしら!?
デザイナーの愛犬。ボサボサの毛の間から、左右色違い（ブラウンとブルー）の目がチラリ。
JACOPO FOGGINI http://www.jacopofoggini.com/
ZARAのエントランスホールにお花畑が登場…..
これは、イスラエル人アーティストのプラスチックやPVC素材、ポリ袋などを使用したインスタレーション。じっくり観察するとなかなか面白くて….
お花畑のまわりをグルグル何周したかしら!?
新しくオープンしたSpazio MARNIでは、“100 chairs”を発表。
チェア、ロングチェア、ロッキングチェアとテーブルからなる100個の椅子コレクションは、可愛いキッズ用モデルも登場….
もちろん、マルニらしいおしゃれなカラーブロックで!
すべてコロムビアの元囚人たちのハンドメイド制作。マルニは彼らの社会復帰を支援しています。
会場で先行販売がはじまると、見ている先からどんどん椅子が売れていきました….売上金はすべてチャリティ団体に寄付。チェア／€350~€450 キッズ用椅子／€250
さらに….Castello di Rivoli Museo d’Arte Contemporaneaの教育部門によるプロジェクトABI-TANTI. The migrating multitudeとマルニのコラボレーションも同時開催。
イタリア語でABITANTIは住人の意。球体、立方体、小さな棒状などの産業廃棄物（リサイクル素材）からつくられたロボットのようなフォルムで、“アイデンティティ”や“違い”、“他者との遭遇”という概念を表現。ミラノサローネ期間中の2日間はワークショップが行われ…..
マルニのコレクションで使用されたアーカイブ・ファブリックやビジューのパーツ材料を自由に組み合わせて、ABI-TANTIのマルニファミリーをつくります!!そこで私も….
私が創作したロボットも世界中でつくられたABI-TANTIファミリーの一員となり、これからパリ、東京….街から街へ、旅を続けます….
ミラノコレクションでプラダのショー会場となるプラダ財団では“Tools for life”展が2日間のみ開催。大きいロフト空間に、ストーリーのある背景とプロダクトが重なり、会場構成のインパクトでは、今回プラダがいちばん印象的でした。
レム・コールハース率いるOMAがKnoll社から発表したさまざまにカタチを変えるテーブル&チェア。
ポール・デルヴォ、ルネ・マグリット….シュルレアリスムの世界とデザインが融合!?
「裏窓」「サイコ」「鳥」….ヒッチコック監督作品のワンシーンのよう!!
人影、雲の流れ、猫や鳥がスクリーンに登場する日常の風景は、臨場感たっぷりにゆっくりと流れていきます。
アルマーニのショー会場となるアルマーニ・テアトロで、プレゼンテーションしたARMANI / CASAは、デザイナーが考察する自然を、純粋なラインとシンプルなカタチで表現。バナナツリーや貝の殻を用いた家具、美しい手織りファブリック、ヴェネチアン・ガラスやキャンドルなど….歴史あるイタリア老舗メーカーの職人技が見事!!
一生ものとして大切に愛用したいアイテムばかり。
マーブル模様のヴェネチアン・ガラス製。
今年の傾向として、カーヴィなデザインに注目!!
ホームコレクションを発表して、まだ数年のエルメスが会場に選んだ場所は、ファッションショーやクラシック音楽コンサートが開かれる旧市街の歴史を刻む建物。
完成度の高い新作家具は老舗メゾンの奥の深さを感じます。
カーヴィなデザインは、エルメスでも発見!!さらに、奥にはスペシャルルームが設けられ….
自動回転式クロゼット。
リモコンで自動開閉する食器棚。すべて特別オーダー家具で、まさに贅沢の極み!!
余談ですが、昨年ランブラーテ地区で気になった毛糸の3Dインスタレーションを、今年も続けて見ることができました。そして嬉しい事に、東京・銀座のHERMESブティックのウィンドーを飾ったそうです!!
繊細なコンセプトはそのままに、新しくタイルメーカーや家具メーカーとコラボレーションした作品を発表。
昔の遺跡や彫刻がモダンにデザインされて…. このデザイナーのアイデアに脱帽!
お皿、コップ、ナイフ&フォーク….テーブルを囲む人たちの日常の跡が残るポエティックな作品。
Analogia Project http://www.analogiaproject.com
サルヴァトーレ・フェラガモは、若手デザイナーの中で今いちばん目が離せないRON GILADの作品を、モンテナポレオーネ通りのブティックにディスプレイ。
画用紙に絵を描いたような繊細かつ細いラインが新鮮!! RON GILAD http://www.rongilad.com/
ミラノサローネ参加2回目のH&M姉妹ブランドCOSは、ランブラーテ地区でインスタレーションを開催。
モダンな什器がミニマム&クリーンなコレクションをより引き立てて….
ファッションからデザインまで、トータルでコンセプトを打ち出すブランドは最近多くなりました。
靴デザイナーになりたかった建築家?インダストリアルデザイナーになりたかったファッションデザイナー?才能ある人物は素人の枠を超え、プロとしての顔をいくつも持っています….
Jean Nouvel pour Ruco Line http://www.rucoline.com/rucoline/
イギリスの著名デザイナーTOM DIXONとアディダスのコラボレーションが誕生。会場は19世紀の鉄道駅舎を再建したレオナルド・ダヴィンチ記念国立科学技術館内。
実験的なファクトリーをイメージしたインスタレーションを舞台に、機能性を兼ね備えたグッドデザインのスポーツウエア、コンバーチブルなトラベルバッグやラゲッジなど多彩なラインナップ。
2013年11月中旬より発売予定。Adidas http://www.adidas.com
今シーズンのファッションテーマの一つであるストライプが、ライフスタイルでも注目されています。モードを着るようにデザインもトレンドに合わせて選ぶ時代が到来!!
上質なライフスタイルを提案するSOCIETY。
リネン素材だってストライプが気分。
お土産にもらった手作りクッキー。SOCIETY http://www.societylimonta.com/
レース人気は継続中….ヴァレンティノの迷彩色レース。
レースでお洒落したテーブル&チェア。
ステラ・マッカートニーのグリーンカラードレス。
トレンドカラーのグリーンの椅子とソファたち….
昨年ロンドン・デザインフェスティバルで脚光を浴びた、オランダ人デザイナーNina Tolstrupが、マークbyマーク・ジェイコブスとコラボレーション。
マーク・ジェイコブスのコレクション・ヴィンテージ生地を使い、ショップのウィンドーと英国雑誌wallpaper主催のイベント展で発表。ファション“デザイン”ビクティムには嬉しいニュース!!
RE IMAGINED http://www.re-imagined.co.uk/
この不思議な素材感にも注目!!
KRIZIAブティックの前を通りすぎたら、同じような素材を発見!!
余談ですが、このスパゲッティの照明は、Spazio KRIZIAで発表したドイツ人デザイナーingo maurerの作品。
中央の赤い靴の男性がデザイナー。彼の発想はすごく柔軟で、アイロニーやファンタジーにあふれています。
ingo maurer http://www.ingo-maurer.com/
何でもない日常のモノに光を当てながら、私たちの日常をより豊かにしてくれるさり気ない美意識や素敵なハプニング＝ときめき、ユーモアのあるデザインに出会える楽しみがミラノサローネにはあります….それは、またの機会に…..ミラノサローネ・フォーエバー!!
