MILANO

中世にタイムスリップ

例年よりも寒くて長い冬。
気分転換したくて、小さな旅へトスカーナの田舎はオリーブや麦、ぶどう畑が広がる丘に
すっと長い糸杉の小道、
古い石造りの農家がぽつんと顔を出す

1年ぶりに訪ねる
カウントリーハウス〈イル・ヴィキアッチョ〉
Il Vichiaccio  http://www.vichiaccio.it

誰もが一度は体験したいと思う
トスカーナの田舎暮らし
お天気の日は、オープンエアで。
ふかふかのクッションを並べて
心地よい団らんを

生まれも育ちもトスカーナ、というマッシモと
車で周辺をドライブ
マッシモの家から見えるカステッロ(城)に
あっという間に到着
広い庭には、フレッシュなハーブの香り。
憩いの場所が
ぶどうの種類を研究するために
わざわざ作られた畑列ごとに種類の違うぶどうを
プレートで確認できる

ごろごろした石がつづく丘の道。
ジープで登っていくと
「もうすぐ、ベルギー大使の別邸があるよ。
ここは僕の理想の家なんだ」と、マッシモ
外観はなんてことないけれど、
ウラからまわって建物の内部を眺めると
「ほらっ、素敵でしょ」
たしかに素敵、自然と家が調和してる。
生活に使う道具たちが
心地よく配置されている
必要なものだけ、美しいものだけがここにはある。
丁寧で豊かな生活を垣間見せてもらった感じ

マッシモの奥様ベアトリーチェが
洋梨ケーキを作ってウエルカム!
ベアとの楽しいおしゃべり。
犬とヴィンンテージが共通の話題に
旅の途中で寄った古着マーケット。
たった5ユーロで手に入れた
シルクのクチュールドレス(右)。
プッチのドレスシャツ(左)は、
「私はもう着ないから…」と、ベアが譲ってくれることに
1970年代のハンドバッグ、
1960年代のお母様のスカーフも
さらに、
「タンタンの愛犬ミルゥは、あなたの犬ノリにそっくりね」と、
むかしベルギーで買ったというバンダナ&ネクタイまで。
ベア、ありがとう♡

ランチはパンツァーノ村にある
お肉屋さん〈チェッキーニ〉で。
イタリアではかなりその名を知られた名店
店内はいつも賑やか。
このお肉屋さんのオーナー、ダリオさんにちなんで
2階にあるハンバーグ屋、
その名も〈mac dario(マック・ダリオ)〉の席が空くのを待つあいだ、
ワインやサラミが客に振るまわれる大きなテーブルを囲んで皆でわいわい食事をする。
10ユーロのワンプレートランチが人気で、
ワインの持ち込みもOK
さすがはトスカーナのマック!
Cecchini  http://www.dariocecchini.com

この旅の目的のひとつ、
‘中世にタイムスリップ’
まるで映画のセットのよう
レンガ造りの街並みが美しい
チェルタルド

毎年、中世のお祭りが開催される
メイン通りをまっすぐ進むと

街のシンボル〈プレトリオ宮殿〉現在はミュージアムに
遠目からでも高い塔がよく見える
サン・ジミニャーノ
中世にかけて流通の要所として大発展を遂げた街は、
その当時の貴族や地元の富豪たちが
権力と富のシンボルである塔を競いあって建てたそう
最盛期には72本あったという塔は
現在14本が残るのみ

丘の上にそっと王冠をのせたような街、
モンテリジョーニ
ダンテ・アリギエーリが、
かの有名な〈新曲〉のなかで
’天に轟くゼウスの雷がごとき巨人の冠’とうたった
街をぐるっと囲む中世の壁
ものの10分で歩ける小さな市街に
ご夫婦が営むインテリア小物のショップが
さりげなくフェミニンな器を手がける奥様、
レザー小物と古物のセレクトをするご主人の二人三脚
古い壁と調和したモノたち。
インテリアの参考になるディスプレイ
La Vecchia Ghiaccera (facebook)
さっそく、この店で購入した器で
テーブルコーディネート

トスカーナのおやつ。
食いしん坊にはたまらない!
カントゥッチーニ。
そのまま食べても、デザート酒に浸してもおいしい
スーパーで見つけたマドレーヌのような焼き菓子
クラシックな包みも◎
皮までまるごと食べられるレモンで
温かいレモネードを作ろう♪
夫のマルコは、小さな村の食材店で
思わずラベル買いしたキャンティワインで乾杯!

アルマーニのミュージアムでは
ミラノ生まれ、数年前までトスカーナの村で
暮らしながら創作活動をしていたアーティスト、
パオロ・ヴェントゥーラの作品展を開催中
パオロさん自ら
作品一つひとつを説明してくれた
かつては
商業カメラマンとして活躍
その後、
パオロさん自身や家族をモデルにした
アーティスティックな写真作り。
セットセザインや絵などを写真とコラージュした作品を発表
ナポレオン戦争時代のコスチュームを着た
パオロさんのポートレート写真
兵士に扮した何百体というパオロさんの姿が
最終的にはすべて消えてなくなる…
アーティストとして、
戦争の無意味さを表現するシリアスな作品パオロさんと
ご子息、プリモ・ジャックくんのふたり「鳥たちはどこ?(パオロ)」
「ほら、あそこに鳥たちがいるよ!(プリモ・ジャック)」
「それなら君も、大空を
飛んで、飛んでゆけ(パオロ)」
「…(プリモ・ジャック)」
「僕は存在しないものを撮ります。
そして、創造の世界をクリエイトします」。
美しいイマジネーションの旅へと誘うパオロさん
Armani/Silos  ‘Racconti Immaginari by Paolo Ventura’ (~7/29まで開催)